硲伊之助(1895–1977)は、フュウザン会や二科会で若い頃より注目された画家でした。一時は後進の絵画指導にあたり、晩年は色絵磁器の創作に熱意をもって取り組みます。制作活動のかたわら、クールベやゴッホなどの画集の編集や、『ゴッホの手紙』(岩波書店)の翻訳に携わるなど西洋美術の紹介にも尽力した他、師マティスの日本ではじめての展覧会(1951年)実現にむけて作家との交渉に携わる実務家としての一面もあわせもっていました。
さらに、裕福な出自をもつ硲が自身の研究のために収集した作品の一部は現在石橋財団に収蔵されており、当館にとってゆかりの深い作家の一人でもあります。本展は、油彩画、版画、磁器など約60点の作品と資料、硲と関わりのある当館の西洋絵画コレクション約15点を展示し、硲の多様な側面を紹介する東京で初めての回顧展です。
仕様:B5変形 並製本/本文184ページ
言語:日英バイリンガル
編集・執筆:伊藤絵里子
執筆:硲 紘一(硲伊之助美術館)、植野比佐見(和歌山県立近代美術館)、中越康介(石川県九谷焼美術館)
翻訳:小川紀久子、ルシー・S. マクレリー
制作:粕川 雅(STORK)
デザイン:三木俊一(文京図案室)
発行:公益財団法人石橋財団アーティゾン美術館